福祉の現場では、「見立て」と「手立て」という言葉が頻繁に使われます。これらは福祉サービスの提供において重要な役割を果たします。今回は、この二つの言葉の意味と、その違いについて分かりやすく説明します。
「見立て」とは?
「見立て」とは、個人個人のニーズや状況を評価し、どのようなサポートが必要かを判断するプロセスのことです。これには、個人の状況や背景を理解することが不可欠です。
いわゆるアセスメントのことで、介護で言えばケアマネジメントやケアプラン作成時に、福祉で言えばソーシャルワークや支援計画において、医療で言えば看護計画や医師の治療方針でも使われる言葉です。
心理職の場合はその方の状態を把握するため、複数の心理検査を用いて精神状態を把握し、病態水準やその後の予後を調べる「心理アセスメント」があります。
※アセスメントに関するつぶやき記事はこちら↓から
「手立て」とは?
「手立て」とは、見立てに基づいて策定される具体的な支援計画や介入方法を指します。これは、個人に合わせた具体的な支援策の提供に重点を置きます。
こちらは方法/手段のことで、見立てによって決めた方針に沿って、どんな方法で課題を解決するかです。ケアマネージャーで言えばどのサービスを組み合わせるか、ソーシャルワーカーで言えば直接的に問題を解決するかカウンセリング的な手法を使うか、医療で言えばどの治療法を選択するかなどです。
心理職の場合は見立てに基づいて認知行動療法を選択するか、精神分析的心理療法を使うか、はたまた内因性の問題に起因しないとして環境調整を行うかなどを選択します。
見立てと手立ての違い
見立てと手立ては密接に関連していますが、それぞれ異なる役割を果たしています。
見立て
見立ては、問題の評価と理解に焦点を当てています。クライアントの状況を正確に把握し、そのニーズを評価することが目的です。
面接と観察が重要で、多くは聞き取りをすることで多くの情報を集められます。インテーク(初回面接)をすることが一般的ですが、おおよその背景情報から推測して見立てることもあります。
また、言語化されていない部分「”大丈夫です”と言っているのに震えて不安そう」「”楽しいです”と言っているのに表情が硬い」など、言葉と態度の差異からその方の状況を判断することも重要です。
手立て
手立ては、その評価に基づいて具体的な対処方法を策定することを指します。見立ての結果をもとに、最適な支援計画を作成するプロセスです。
ここでも方法としての面接は用いられますし、対処法の選択肢は例えば課題(嫌な授業とします)があれば
・直接その課題を取り除く(その授業を履修から外す)
・克服する力を付ける(めちゃくちゃ勉強して得意になる)
・対処法を身に着ける(1時間だけ我慢すればいいや、絵描いていればいいや)
など、方法は様々な中から選択できます。
もう少し固く言えば、面談手法(心理療法で言えば精神療法、行動療法など)であったり、医師であれば精神療法か薬物療法か(もちろん両方使用することが多いですが)なども「手立て」に入ります。
福祉の現場での適用方法
福祉の現場では、正確な見立てに基づいて効果的な手立てを策定することが求められます。個々のニーズに応じたアプローチが重要です。
この「正確さ」がミソで、必ずしもその方全てを正確に把握することは出来ないという前提のもと、なるべくその方をよりよく知ろうという姿勢が重要です。そして、この見立てをいかに丁寧に行うかで、その後の対応方針と予後が決まるのです。
効果的な見立てのポイント
効果的な見立てを行うためには、クライアントの状況を正確に理解し、そのニーズを的確に把握することが大切です。これには、その人の一部分だけでなく広くその方を見た評価と個別の対話での掘り下げが必要です。
一番の敵は自分の「主観」「思い込み」です。時には経験が邪魔をすることがあるので、常に客観的な視点を持てるようにしましょう。
効果的な手立ての策定
見立てに基づいて、個々に合った手立てを策定することが求められます。これには、個人の状況に適した介入計画の作成が含まれます。
この約20年で時代は変わり、エビデンスが求められるようになりました。福祉におけるエビデンスは「記録」です。いうなればどんなに良い支援をしたとしても、記録がなければ「何もしてない」ことになりかねません。それが現実です。
アセスメントに基づいた計画を立てることが求められ、それが支援計画となります。アセスメントがしっかりできていればおのずと手立ては出来てくる。だからこそ、この業界ではアセスメントが重要だと言われるわけです。
まとめ
福祉の現場における見立てと手立ては、クライアントに適切なサービスを提供するために不可欠です。これらを正しく理解し、適切に適用することで、より効果的な支援が可能になります。福祉のプロフェッショナルとして、これらの概念を活用して、クライアントのニーズに最大限応えられるようになりましょう。
※アセスメントに関してはコチラの記事でもつぶやきをご紹介しています。
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