※この記事は2026年1月現在の情報を基にしています
令和6年度の抜本的な改定から2年。2026年(令和8年)の今、就労支援の現場は「通所型」から「評価・移行型」への完全な転換期を迎えています。
厚労省が掲げる「就労能力の適切な評価」という大号令のもと、現場の支援員が今、何を根拠に動くべきか。他人ごとではない、最新の動向を深掘りします。
1. 「就労選択支援」の深掘り:アセスメントの質が事業所の格を左右する
2025年10月から本格始動した「就労選択支援」。厚労省の狙いは、ハローワークと連携し、「本人の意向と能力を客観的に可視化し、適切な行き先へ繋ぐ」ことにあります。
- 厚労省の重要ポイント:これまでの「就労移行支援」の枠組みを使いつつも、1〜2ヶ月という短期間で「就労アセスメント結果票」を仕上げる能力が求められます。
- 現場のリアル:単に「頑張っています」という定性的な評価ではなく、VRT(職業興味検査)やワークサンプル等の客観的指標を用い、「どのような合理的配慮があれば、この人は一般就労で戦力になるか」を言語化する力が、報酬加算の鍵を握っています。
2. 定着率評価のシビアな現実:7段階報酬の衝撃
厚労省は、就労移行支援の基本報酬を「就職後の定着率」に完全に連動させました。令和8年現在、その影響が経営を直撃しています。
- データで見る二極化:定着率が高い(80%以上)事業所は高い報酬単価を維持していますが、マッチングを疎かにし定着率が低い事業所は、基本単価が大幅に削られています。
- 厚労省の意図:これは「ミスマッチを繰り返す事業所は淘汰される」という強いメッセージです。福祉職による「就職前の徹底的な自己理解支援」が、今や最大の経営リスクヘッジとなっています。
3. 「令和9年度報酬改定」に向けて厚労省が議論していること
2026年の今、次期改定(2027年度)の骨子が検討会で見え始めています。以下の3点は特に注意が必要です。
- 在宅就労(リモートワーク)への評価拡充:ICTを活用した訓練と、在宅での就労支援に対する報酬体系の更なる柔軟化。
- 精神障害者の短時間労働への対応:週20時間未満の超短時間雇用に対する評価の再編。
- 専門職配置加算のさらなる強化:専門職の配置が、単なる加算ではなく「基本要件」に近づく可能性。
4. プロの支援員が「今」準備すべき3つのこと
① アセスメントスキルの言語化
厚労省の資料にある「就労アセスメント」の標準様式を使いこなすのは当たり前。そこに、「企業側が納得する配慮事項」をいかに盛り込めるか。ここが福祉職・専門家としての腕の見せ所です。
② 企業ネットワークの「質」の転換
ただ求人を探すのではなく、「自所の利用者の特性に合う企業」を独自開拓しているか。定着率を上げるためには、企業の「現場担当者」とのダイレクトな連携が不可欠です。
③ 支援データの可視化
次期改定では、よりエビデンス(根拠)に基づいた支援が求められます。日々の面談記録を「ただの感想」ではなく「変化の指標」としてデータ化しておくことが、事業所の評価を守ります。
結びに代えて:制度の波を乗りこなす
厚労省の舵取りは厳しいものに見えますが、その本質は「障害がある方の働く権利を、より確実なものにする」ことにあります。
制度を「壁」と捉えるか、「プロとしての価値を証明するチャンス」と捉えるか。 私たちは後者でありたい。そのための知恵を、これからもこのブログで共有していきます。


